レンタルサーバーを選ぶときには、費用や容量に加えてセキュリティ対策を重視することをおすすめします。個人ブログや企業のサイトは、サイバー攻撃の危険性を常に考慮に入れておくべきです。この記事では、レンタルサーバーを利用するメリットやセキュリティ対策の必要性、セキュリティ対策にはどのような種類があるのかなどを解説していきます。
レンタルサーバーを利用すると、対応が難しいサーバー関連の問題を専門の業者が請け負ってくれます。その利便性の高さや料金の安さから、個人でブログをやっている人のなかにもレンタルサーバーの利用者が増えてきました。アフィリエイトを本格的に始める前に、無料ブログを卒業してレンタルサーバーへと切り替える人がいます。レンタルサーバーの契約を済ませてしまえば、アフィリエイト広告の内容を自由に決められますし、複数のブログの運営も可能になるというメリットがあります。
また、企業においても、自前のサーバーを設置するのを避けてレンタルサーバーを利用するところが少なくありません。サーバーの自社運用には設置やメンテナンスの費用に加えて、専門的な知識や技術を持った人材が必要となります。サーバーのトラブルへの対応も自分たちで行わなければなりません。導入までにかかる費用を考えると、初期費用や維持管理費が安いレンタルサーバーのメリットが際立ちます。
手軽に利用できるレンタルサーバーですが、セキュリティ面での対策はどのくらい必要なのでしょうか。ここからは実際にレンタルサーバーが被った被害を見ていくことで、セキュリティ対策の重要さについて考えていきましょう。2019年1月、とある企業が運営するレンタルサーバーが不正アクセスを受けて、約5000件のウェブサイトが改ざんされました。特定の利用者が導入していたWordPressのIDがサイバー攻撃の踏み台に利用されています。被害が大きくなったのは、想定外の手段でOSの脆弱性を突かれたためです。
WordPressがねらわれたケースは過去にもあります。2013年9月、レンタルサーバー業者が簡単インストールで配布していたパッケージの不備と、サーバー側のディレクトリパーミッションの設定が不適切だったため、大規模な改ざん被害が発生しました。インストールが完了していないWordPressを標的としたサイバー攻撃が行われ、8438件のサイトで改ざんが確認されたのです。
こういった被害が発生した場合、企業は被害状況の確認や原因究明、システムの修復・復旧など、費用面での損害が大きくなります。企業イメージも損なわれますし、顧客への賠償も必要になるかもしれません。個人の被害としても、ブログのコンテンツが改ざんされれば、コンテンツの復旧やマルウェア感染の確認などの作業に追われることになるでしょう。きちんとした対策を施していても、システム上の弱点を突かれて大きな被害を出してしまうこともあります。サイバー攻撃の危険性をできるだけ低くするためにも、レンタルサーバーのセキュリティ対策は必要不可欠です。
例として挙げたレンタルサーバーの被害において、2つのケースともにWordPressがねらわれましたが、これは偶然ではありません。WordPressは無料で公開されていることもあって、世界中にたくさんの利用者がいます。悪意を持つ者がサイトやブログをサイバー攻撃する際、利用者の多いWordPressは標的にされやすいといえるでしょう。すぐにできるセキュリティ対策としては、アップデート情報をこまめにチェックして修正パッチを適用することです。常に最新版に保つことで、被害を受けるリスクを減らすことができます。
WordPressを上手に使うためには、カスタマイズするためのプログラムである「プラグイン」は欠かせません。しかし、このプラグインにも脆弱性が見つかる場合があるため、ここでもアップデートをこまめに行いましょう。また、プラグインにはセキュリティ対策が施されたものもあります。セキュリティプラグインをインストールしておけば、不正ログインや管理ページへの不正アクセスなどを防ぐことが可能です。
レンタルサーバーを利用する際に、基本となるセキュリティ対策は3種類あります。「ファイアウォール」は不正アクセスを遮断するシステムです。許可されていないポートやIPアドレスからの通信を防いでくれます。しかし、許可されている通信は通してしまうため、DoS攻撃のような異常なアクセスによって侵入を試みる攻撃には対応できません。
そこで、不正な通信を監視する「IDS/IPS」が必要になります。IDSは異常があった場合に管理者へ通知を行い、IPSは通信を遮断することも可能です。IDS/IPSを導入することで、DoS攻撃に備えることができます。
通信を解析して、Webアプリケーションの脆弱性を悪用したSQLインジェクションなどの攻撃に対応できるのが「WAF」です。WAFはサイトやブログへの攻撃を防ぐのに優れた役割を発揮します。IDS/IPSでは対処できない攻撃にも対応可能で、WAFによってサイバー攻撃と判断されると不正アクセスは即座に遮断されます。レンタルサーバーはこれらのセキュリティ対策を組み合わせることによってサイバー攻撃への防御を行っているのです。
レンタルサーバーでセキュリティ対策を万全にしていても、普段使用しているパソコンがウィルスに感染していては問題の解決につながりません。ウィルス対策のソフトウェアを常に最新のバージョンにしておきましょう。Windowsのアップデートを定期的に行うことで、セキュリティ対策を万全にしておくことも重要です。また、もっとも基本的なセキュリティ対策として、サイトの暗号化(SSL化)があります。SSLが適用されているサイトは「https://~」と表記され、比較的安全性が高いです。そのサイトが暗号化されているかどうかは、Googleの検索ランキングの順位にも反映されます。自分のブログを運営している人は、サイトの暗号化を行ってセキュリティ対策をしておきましょう。
レンタルサーバーのセキュリティ対策には、ファイアウォールやIDS/IPS、WAFなどさまざまな種類があります。サイトを暗号化するSSLについても、独自のSSLを提供しているレンタルサーバーもあることから、どういった基準で選んだらよいのかわからなくなる人も少なくないでしょう。そんなときには、自分がどんな目的でレンタルサーバーを利用しようとしているのかを考えると、判断材料の一つになるかもしれません。
たとえば、自分のブログを運営したい場合には、ホームページへの不正アクセスを防いでくれるWAFを前面に押し出しているレンタルサーバーがおすすめです。メルマガを発行したい人は、メールのウイルススキャンやスパムメールのフィルタリングが無料で利用できるところを探すとよいでしょう。企業向けのサイトを運営する場合には、不正なアクセスを専門スタッフが24時間監視してくれるレンタルサーバーだと安心できます。サーバーのセキュリティ対策ではありませんが、なにか問題があったときに電話サポートが受けられる体制を作っておくと迅速な対応が可能です。コストとのバランスを見ながら、セキュリティ対策の内容を吟味することが重要になります。
レンタルサーバーを選ぶ際にはコストやディスク容量などに目が行きがちですが、セキュリティ対策の確認も忘れてはいけません。もしもブログやサイトがサイバー攻撃によって被害を受けてしまうと、その後の対応が大変です。企業サイトの場合には、いったん悪いイメージがついてしまうと元の状態に回復させるのも困難になります。レンタルサーバーに十分なセキュリティ対策を持たせて安全と安心を得ましょう。
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